おしら樣神社に戻る

おしら様主催

「アンコウ鍋の会」2002年のおしら様よりの案内文


年刊「魚徳友の会」  編集・発行:塩谷賢

(saltcat@bc4.so-net.ne.jp)

 

正月特集号 

「2002年の鍋はどうなっとるか」

(記事)・常陸屋鮟鱇が襲名(前口上を全文掲載)

・本公演日時が決定(詳細は広告に)

 

 

・常陸屋鮟鱇鍋、襲名決定。

 新進の俳優常陸屋鮟鱇鍋が、第14代鮟鱇屋鍋能美を襲名。1月某日、

都内某所にて本公演に先立ち、披露の口上が行われた。

 

本公演の前口上全記録:

―(真中に、魚徳主人、鮟鱇、下座に肝入が着座。拍子木、「東西、東

西、」の掛け声)――

 

肝入:今日は、常陸屋鮟鱇丈、第14代鍋襲名披露におはこび下されて誠

にありがたく存じまする。襲名披露の本公演は、来たる如月節分の、夕

べに先立つ申の刻、今で言うなら2月の3日、時刻は夕方4時の頃、と

ころは荻窪魚徳座、掛かる名題は吉例の、「魚徳鍋の誉れ鮟鱇の語ら

い」。

此度はお子様方の御臨席を望み、祈願の餅つきをも執り行います。

御来臨のその節は、大人お一人金一封(壱萬円)、入場料を申し受けま

す。

なろうことなら心付を、魚徳座にもお願いします。

さあて、それではこれより口上を、申し上げ、ご披露仕ります。

 

魚徳主人:高座より一言申し述べさせていただきます。

当魚徳座におきまして、冬の名題、「魚徳鍋の誉れ鮟鱇の語らい」は、

初演より14回を数えることとなり、多くのお客様方の談論風発され、科

学から哲学、子育てから映画時評、はたまた親父の寿命からなぜ茂木が

もてるかまで、喧喧諤諤、甲論乙駁、丁丁発止、汲めども尽きぬ知的資

源の開発を演じ、東都独自の知と美食を楽しむ自由なサロンの祭典と

なっております。

この冬も吉例に従い、本名題を興行いたしますことは、座主として幸い

これにすぐるもの、この世になしと覚悟なし、このたびこれなる常陸屋

鮟鱇が、第14代鮟鱇屋鍋能美を襲名し、主役を演ずるを受けまして、つ

ねにもまして絢爛なダシを舞台に整えます。

常陸屋鮟鱇は、その実力は高いもののあるものの、やはり田舎の未熟

者、じっくりと煮含めた味わいを出すには、下ごしらえもさることなが

ら、お客様方の御贔屓、御声援がなによりも必要でございます。とくに

お子様方がお楽しみ下されることが肝要。本年は吉祥を願い、餅つきも

同時に執り行いますので、是非にご家族皆様、お誘い合わせの上ご来場

下さい。それでは第14代鮟鱇屋鍋能美の活劇を心行くまでご堪能くださ

いませ。

――――(平伏し、拍子木一つ。鮟鱇、顔を挙げ)―――――

 

鮟鱇:さっそくですが口上を述べさせていただきます。手前生国と発し

まするは常陸でございます。常陸といっても広うござりますれば、常陸

の国は太平洋、五浦、平潟の沖合いの、水深数百メートルが海の底、い

わば田舎でございます。そこをオン出て、漁師舟、名も常陸屋鮟鱇と改

めて、上ってきたのは花の東京、その名も高き魚市場。顔はまずくも白

身の魚、アラやコチらの御用とて、蒲鉾竹輪の声も掛かれど、せめて故

郷に錦を飾る、名の表に出るよう料られよう、そんな思いが届いてか、

春のたつ日の前の夕、そも節分の目出度き日、ところは荻窪魚徳の、天

下に轟く皆様の、前で主役を張るときは、身の引きしまる思いする、1

4代目の鮟鱇屋、鍋能美との名を頂き、鍋にささげる身の覚悟。仙台萩

の高尾のごとく、この身を吊るされ、吊るし切り、さらに尽くして粉骨

砕身、大身・皮・トモ(肝)・水袋(胃)、さらにはヌノ(卵巣)・ヒ

レ・ぶりぶり(唇まわり)と、七つ道具といわれるこの身、武蔵坊が弁

慶に、なぞらえるのも十八番、惜しみなく出す鍋のダシ、勧進なのはそ

の美味さ、すみからすみまで、ずずずいいと、味わい尽くしてください

ませ。

――――(拍子木、一同平伏する、幕)――――――

 

・本公演決定。

第14代鮟鱇屋鍋能美の襲名披露本公演は2月3日に魚徳で行われることに

なった。

年々正月公演は盛んになっており、当局筋では本年も大入り満員と予想

している。また今年は子供向けのエキジビションをかねて餅つきを行う

ことが内定しており、若年層参加者の増加が期待されている。